李鍾元・木宮正史編『朝鮮半島 危機から対話へ-変動する東アジアの地政図』岩波書店、2018年10月12日、155頁、1900円+税、ISBN978-4-00-023897-7
編者による「まえがき」も「あとがき」もなにもない。どういう意図で、本書が出版され、どういう構成になっているのか、さっぱりわからない。全体を示すものは、表紙見返しのつぎのものしかない。「電撃的な南北・米朝首脳会談の実現により、朝鮮半島をめぐる国際情勢は激動を迎えている。金正恩の北朝鮮、文在寅の韓国、トランプのアメリカ、習近平の中国は何を考えているのか。そして日本外交は今後どうすべきなのか。今起こっている大転換の意味とは。世界を「現実的」に見つめ直すために不可欠な論点を提示する」。
本書は、全7章からなる。「1 「戦争の危機」から「平和のための対話」へ-東アジアの構造変動をよみとく」は、2人の編者の論説からなる。「2 金正恩体制は何を目指すか-「権力の確立」から「体制の保証」へ」(平井久志)、「4 「追い込まれた米国」が解凍した二五年の先送り-トランプと金正恩を繋いだインテリジェンスルート」(尾形聡彦)、「5 朝鮮半島「非核化」の先を見据える習近平」(朱建栄)、「7 日朝国交正常化はなぜ必要か」(太田修)の出所はわからないが、「3朝鮮半島の非核化と文在寅政権の戦略」(文正仁)、「6 米朝核交渉と日本外交」(田中均・太田昌克)は、雑誌『世界』にそれぞれ2018年5月号、同7月号に掲載されたものだ。
2018年6月12日にシンガポールでおこなわれた米朝首脳会談後を見据えた議論が展開されていることはわかるが、当然のことだが、決定的なものはない。そのあたりが、「まえがき」も「あとがき」もなく、読者の理解に任せているということだろう。「棚上げ」は当座の問題解決のひとつの手段であるが、いつまでもつづけるわけにはいかない。朝鮮半島問題も、そのときが来たのかもしれない。
本書は、全7章からなる。「1 「戦争の危機」から「平和のための対話」へ-東アジアの構造変動をよみとく」は、2人の編者の論説からなる。「2 金正恩体制は何を目指すか-「権力の確立」から「体制の保証」へ」(平井久志)、「4 「追い込まれた米国」が解凍した二五年の先送り-トランプと金正恩を繋いだインテリジェンスルート」(尾形聡彦)、「5 朝鮮半島「非核化」の先を見据える習近平」(朱建栄)、「7 日朝国交正常化はなぜ必要か」(太田修)の出所はわからないが、「3朝鮮半島の非核化と文在寅政権の戦略」(文正仁)、「6 米朝核交渉と日本外交」(田中均・太田昌克)は、雑誌『世界』にそれぞれ2018年5月号、同7月号に掲載されたものだ。
2018年6月12日にシンガポールでおこなわれた米朝首脳会談後を見据えた議論が展開されていることはわかるが、当然のことだが、決定的なものはない。そのあたりが、「まえがき」も「あとがき」もなく、読者の理解に任せているということだろう。「棚上げ」は当座の問題解決のひとつの手段であるが、いつまでもつづけるわけにはいかない。朝鮮半島問題も、そのときが来たのかもしれない。
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