竹田いさみ『海の地政学-覇権をめぐる400年史』中公新書、2019年11月25日、267頁、900円+税、ISBN978-4-12-102566-1
「陸地が分断支配され領地とされてきた歴史があるように、海にも同様の歴史がある」。しかし、その歴史的長さ、地理的範囲には大きな違いがある。本書は、約400年前にはじまったヨーロッパ人による「海洋の歴史を振り返り、海洋秩序や海洋ルールの変遷に焦点をあて、近現代史を海から捉え直す」ことを目的に書かれた、あくまで陸地から見た「海の地政学」である。
本書の限界について、著者、竹田いさみは、つぎのように「まえがき」で述べている。「本書は、おもに近現代の国家を対象にしている。また、海洋秩序のあり方に大きな影響を及ぼす中国の動向に焦点を絞ったため、日本と排他的経済水域(EEZ)を接するロシア、韓国、北朝鮮、台湾などを取り上げていない。ただ今後、北極海航路の重要性が高まる中、ロシアが重要な役割を演じることは間違いないだろう」。
本書は、まえがき、全6章、あとがきからなる。
第1章「海を制した大英帝国」では、「国家が海と向き合うようになった「大航海時代」に少し触れ、主に一七世紀から一九世紀における、イギリスの海洋パワーとしての発展を分析していく」。
第2章「クジラが変えた海の覇権」では、「一九世紀における新たなプレーヤーとして、捕(ほ)鯨(げい)業を軸に海の覇権競争に参画したアメリカを俎上にのせる」。
第3章「海洋覇権の掌握へ向かうアメリカ」では、「パナマ運河建設、海軍力の強化を図ったアメリカが、二つの大戦を通じてイギリスに取って代わる海洋パワー(シーパワー)としての地歩を固めていく姿を明らかにする」。
第4章「海洋ルールの形成」は、「二〇世紀における海洋革命と謳われた「トルーマン宣言」を中心に、アメリカ主導の新しい海洋秩序の形成、ならびに国連海洋法条約の制定過程を詳(つまび)らかに見ていく」。
第5章「国際ルールに挑戦する中国」では、「世界の海洋秩序に挑戦する中国の動向を検証し、第6章「海洋秩序を守る日本」では、「「海上法執行」の主役を演じる日本の対応を考察する。法執行とは、国内法である海上保安庁法や警察官職務執行法などに基づいて警察権を行使するとともに、国連海洋法条約をはじめとする国際ルールを踏まえて、領海警備や排他的経済水域の保全・管理、さらに海賊対処行動をすることである」。
そして、著者は、「「自由で開かれたインド太平洋」を目指して」の見出しの下、つぎのように述べて、最終章である第6章を閉じている。「「海の憲法(国連海洋法条約)」を戴く、秩序と協調を前提とした二一世紀の海洋世界構築に対して、中国という不安定要因がある。そのようななかで、日本が国際社会をリードしつつ外交・防衛・法執行(外交力・軍事力・警察力)という海洋秩序の装置を強化し、海洋秩序に挑戦する中国の進出に歯止めをかけなくてはならない。一九世紀の海の覇者イギリスや、二〇世紀を代表する「海洋パワー(シーパワー)」アメリカとは異なるアプローチをもって、海上法執行の分野で、日本は大きな役割を演じることができる」。
このような結論に至ったことは、「あとがき」のつぎの謝辞からわかる。「脱稿までの長いプロセスでは、実にさまざまな方々にご教示をいただいた。海上保安庁、防衛省・海上自衛隊、外務省、国際協力機構(JICA)、国際交流基金、日本船主協会、全日本海員組合、日本郵船、郵船クルーズの方々からは、多様な学習の機会を頂戴した。厚くお礼を申し上げたい」。
著者は、「領海警備の最前線である石垣島、宮古島、那覇、鹿児島、福岡、門司、対馬、舞鶴、新潟を訪れた際には、巡視船艇を見学しながら、現場での活動を大勢の保安官からうかがうことができた」。また、つぎのように述べている。「海上自衛隊の練習艦「かしま」に乗艦して地中海から紅海への航行中、あのスエズ運河を通航できたことはまたとない希少な経験であった。横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大(おお)湊(みなと)にある海自の地方総監部、さらには那覇、岩国、厚木の航空「基地」、さらに陸上自衛隊や航空自衛隊の駐屯地を視察するたびに、防衛力の重要性を認識した」。
これだけの旅費が捻出できたことは羨ましいかぎりだが、その財源は、見落としていなければ、どこにも書かれていない。
本書の限界について、著者、竹田いさみは、つぎのように「まえがき」で述べている。「本書は、おもに近現代の国家を対象にしている。また、海洋秩序のあり方に大きな影響を及ぼす中国の動向に焦点を絞ったため、日本と排他的経済水域(EEZ)を接するロシア、韓国、北朝鮮、台湾などを取り上げていない。ただ今後、北極海航路の重要性が高まる中、ロシアが重要な役割を演じることは間違いないだろう」。
本書は、まえがき、全6章、あとがきからなる。
第1章「海を制した大英帝国」では、「国家が海と向き合うようになった「大航海時代」に少し触れ、主に一七世紀から一九世紀における、イギリスの海洋パワーとしての発展を分析していく」。
第2章「クジラが変えた海の覇権」では、「一九世紀における新たなプレーヤーとして、捕(ほ)鯨(げい)業を軸に海の覇権競争に参画したアメリカを俎上にのせる」。
第3章「海洋覇権の掌握へ向かうアメリカ」では、「パナマ運河建設、海軍力の強化を図ったアメリカが、二つの大戦を通じてイギリスに取って代わる海洋パワー(シーパワー)としての地歩を固めていく姿を明らかにする」。
第4章「海洋ルールの形成」は、「二〇世紀における海洋革命と謳われた「トルーマン宣言」を中心に、アメリカ主導の新しい海洋秩序の形成、ならびに国連海洋法条約の制定過程を詳(つまび)らかに見ていく」。
第5章「国際ルールに挑戦する中国」では、「世界の海洋秩序に挑戦する中国の動向を検証し、第6章「海洋秩序を守る日本」では、「「海上法執行」の主役を演じる日本の対応を考察する。法執行とは、国内法である海上保安庁法や警察官職務執行法などに基づいて警察権を行使するとともに、国連海洋法条約をはじめとする国際ルールを踏まえて、領海警備や排他的経済水域の保全・管理、さらに海賊対処行動をすることである」。
そして、著者は、「「自由で開かれたインド太平洋」を目指して」の見出しの下、つぎのように述べて、最終章である第6章を閉じている。「「海の憲法(国連海洋法条約)」を戴く、秩序と協調を前提とした二一世紀の海洋世界構築に対して、中国という不安定要因がある。そのようななかで、日本が国際社会をリードしつつ外交・防衛・法執行(外交力・軍事力・警察力)という海洋秩序の装置を強化し、海洋秩序に挑戦する中国の進出に歯止めをかけなくてはならない。一九世紀の海の覇者イギリスや、二〇世紀を代表する「海洋パワー(シーパワー)」アメリカとは異なるアプローチをもって、海上法執行の分野で、日本は大きな役割を演じることができる」。
このような結論に至ったことは、「あとがき」のつぎの謝辞からわかる。「脱稿までの長いプロセスでは、実にさまざまな方々にご教示をいただいた。海上保安庁、防衛省・海上自衛隊、外務省、国際協力機構(JICA)、国際交流基金、日本船主協会、全日本海員組合、日本郵船、郵船クルーズの方々からは、多様な学習の機会を頂戴した。厚くお礼を申し上げたい」。
著者は、「領海警備の最前線である石垣島、宮古島、那覇、鹿児島、福岡、門司、対馬、舞鶴、新潟を訪れた際には、巡視船艇を見学しながら、現場での活動を大勢の保安官からうかがうことができた」。また、つぎのように述べている。「海上自衛隊の練習艦「かしま」に乗艦して地中海から紅海への航行中、あのスエズ運河を通航できたことはまたとない希少な経験であった。横須賀、呉、佐世保、舞鶴、大(おお)湊(みなと)にある海自の地方総監部、さらには那覇、岩国、厚木の航空「基地」、さらに陸上自衛隊や航空自衛隊の駐屯地を視察するたびに、防衛力の重要性を認識した」。
これだけの旅費が捻出できたことは羨ましいかぎりだが、その財源は、見落としていなければ、どこにも書かれていない。
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